アラサーOL 頑張らない日々

読書好きアラサーOL@都内 お一人様爆走中で何をするにも基本ソロ活動。将来の夢はものを書いて生計を立てること。

【読書のススメ】中学の時、最高に楽しかった(死神の浮力/伊坂幸太郎)

ずっと読みたかった本。
死神の精度の続編。
平日、仕事終わりに少しずつ読んだのだけど、とにかくこの本だけを楽しみにしていたので、読み終わってしまって楽しみがなくなってしまった…。(笑)

 

前作とは異なり、ミステリーの要素も盛り込まれていたけれど、千葉さんは相変わらずで安心した。
千葉さんの超人離れした能力とユーモラスな言動が、アラジンのジーニーとオーバーラップして、前作以上に千葉さんのことが大好きになった。


陰と陽で正反対な二人なのに、主人公に寄り添う姿や愉快な言動や不思議と人間臭いところなど、共通点が多いせいか、読み進めるうちに、どんどんオーバーラップしていった。

 

ところどころ、千葉さんが人間の特性を冷静に分析し、それを不思議がっているシーンが出てくるのだけれど、その分析がとても的を得ていて、くだらないことで悩んでいることが馬鹿馬鹿しくなった。


同僚たちが適当にやり過ごす仕事も、真面目に取り組み、人間たちの特性を理解しようという姿勢もなんともいじらしくて、癒された(笑)
感情の起伏がなく、人間に興味のなさそうな千葉さん達調査員が愛してやまないのが音楽というのも、この本の好きなところだ。

 

そんな千葉さんに影響されて、ふと、中学のときに歌っていた合唱曲やらを聴いてみたら、懐かしさとその歌詞にとんでもなく心を動かされた。

 

色々聴いて中学のときの思い出で胸がいっぱいになっていたのだけど、ふと、知らない曲も聴いてみようと思って何気なく聴き始めた曲が素晴らしかった。


あなたへ という曲。


卒業式で歌われているようで、歌詞にもメロディーにも心を持っていかれて、気づいたら涙が出そうになっていた。

 

旅立っていくのですね
まばゆいほど輝いて
旅立っていくのですね
温かな巣をあとにして

愛と涙そして知るだろう

人生という名の迷路の果てに

信じあえることの喜びと悲しみを知った分優しくなれることを

 


中学のとき、それはそれは小さな世界で生きていたけど、あのころ、本当に楽しかった。
思いっきり笑って転げまわっていたし、自分も周りのこともとても好きだった。
根拠のない自信と明るい未来があると信じていたし、努力すればなんだって叶うと思っていた。

 

あの頃のみずみずしい感覚をこれから先体感することが難しいと思うけど、それでも自分の中にあるこの思い出を大切にしていこうと思った。


あわただしすぎる毎日をただやり過ごすような日々が続いて、ベルトコンベアーに乗せられて、意味不明な目的地まで流されているような気分になる。


この曲のおかげで、我に返った気がした。千葉さんのおかげだ。(笑)

 

中学のころ、なんのために合唱しているのか分からなかったけど、こうやって大人になった今の自分のために歌っていてくれていたような気さえする。

 

あのころ想像しなかった様々な経験を経て、いろんなことを諦めて過ごす日々の中で、昔の自分が夢見てたような大人になれているのかと考えて苦笑してしまった。

 

音楽はなくても生きていけると思っていたけれど、そうじゃないと思わせてくれた。
中学のころ歌っていた曲を通勤のお供にしてみようかな。