【読書のススメ】僕たちは人間をやるのが下手だ(人間/又吉直樹)
又吉さんの『人間』を読みました。
きちんと理解できるにはもっと読み込まないといけないと思うのですが、
僕たちは人間をやるのが下手だ
という言葉はすっと入ってきました。
この本に出てくる人たちもそうですが、私自身も人間をやるのが下手くそだと思います。変な意味ではなく、人間やめたくなるときだってあります。(笑)
正確に言うと、自分をやめたくなるときと言った方がいいのかもしれないですが。(笑)
だけど、例えばアルバイトであれば、辞めて、新しいアルバイトを始めることができますが、自分をやめて、人間やめたところで、新しく何になればいいのか想像もつきません。(笑)
だから、これからも下手くそに自分をやってかなくちゃいけないんですよね。
この本には読み進めるのがしんどいくらい、不器用で実直な人たちがたくさん出てきます。
歳をとれば世渡りを覚えていくものですが、それでもいくつになっても、100%の完璧さで、人間やってくことなんて難しいと思わずにはいられないくらい、みんな人間くさくて。
又吉さんが
人生はしんどいものだと思ってる
と以前言ってました。
その言葉があったからかわかりませんが、火花や第2図書係補佐を読んだり、近畿大学での祝辞を聴いて、なんとなく、どんなことも優しい視点で捉えて、しんどいことに対しては受け入れる姿勢をとってる人だと思っていたのですが、人間を読んで感じたのは理不尽なことに対しての爆発的な怒りのような感情でした。
荒々しくて突き刺さるような怒り。
森絵都さんのいつかパラソルの下で という好きな本があるのですが、又吉さんの本を読みながらその本の好きなフレーズを思い出していました。
愛しても、愛しても、私自身はこの世界から愛されていないような、そんな気が心のどこかでいつもしていた。
受け入れても、受け入れても、私自身は受け入れられていない気がしていた。
(中略)
けれどもそれは自分自身のせいでなく、なべて生きるというのは元来、そういうことなのかもしれない、と。
(中略)
人は等しく孤独で、人生は泥沼だ。
愛しても愛しても愛されなかったり、受け入れても受け入れても受け入れられなかったり。
それが生きるということで、命ある限り、誰もそこから逃れることはできない。
僕たちは人間をやるのが下手だ
と言う言葉もこれから私の中に深く根付く大切なものになりそうです。