【読書のススメ】ひとりぼっち(いつかパラソルの下で/森絵都)
アラサーになるとお一人様も板についてきて、ひとりでどこへでも行けるようになった。
ひとり居酒屋もひとり海外旅行もひとり映画も。
朝起きて仕事に行って、帰ってきて。
休日はひとりであちこち出かけて。
たまに友達とご飯に行ったりして。
この無限ループが私の人生なのだと思っていた。
こうやって年を重ねていくことを受け入れようと思っていた。
最近、渡辺直美さんがYouTubeで一緒にご飯を食べようという動画をあげていた。
試しに一緒にご飯を食べてみてたのだけど、とても楽しかったのだ。
会社から帰ってきて、いつもひとりでご飯を食べるのが当たり前だったけど、思いがけず、ひとりではないと思わせてくれた。
きっと、自粛になる前にも同じようにひとりぼっちだと感じる人がたくさんいたと思う。
私のように独身でいる人や学校へ行けない人などなど。
そういう人にとって、ひとりじゃないと思わせてくれる動画はなんだか観ていてほっとするし、元気が出る。
会ってくれる友達がたくさんいる人も私のような独身お一人様も今は同じ状況下にいるのが不思議に感じるけど、森絵都さんの『いつかパラソルの下で』という大好きな小説の一説を思い出した。
愛しても、愛しても、私自身はこの世界から愛されていないような、そんな気が心のどこかでいつもしていた。
受け入れても、受け入れても、私自身は受け入れられていない気がしていた。
(中略)
けれどもそれは自分自身のせいでなく、なべて生きるというのは元来、そういうことなのかもしれない、と。
(中略)
人は等しく孤独で、人生は泥沼だ。
愛しても愛しても愛されなかったり、受け入れても受け入れても受け入れられなかったり。
それが生きるということで、命ある限り、誰もそこから逃れることはできない。
人は等しく孤独であるということの意味を正しく理解するにはまだ時間がかかりそうだけれど、大好きなこの一説はこれからもずっと大切にしていきたい。