【読書のススメ】落ち込んだとき、元気がないときに読む本(かなりや/穂高明)
好きな本を10冊あげるとしたら、絶対にランクインする本。
読み進めるのが辛いシーンも多いけれど、ここに出てくる大和尚さんのかけてくれる言葉に読むたびに涙が溢れてくる。
方言混じりでハートがある心に染み込むような優しい言葉。
大和尚さん以外の人も魅力的な人ばかり。
登場人物たちの状況はしんどくて、苦しいものばかりだけど、周りにいてくれる人のあまりにも大きな優しさに、ささくれて疲れた心が洗い流されるような感覚がする。
辻村深月さんのツナグとこの本を同じジャンルに勝手に分類分けしてる。
ツナグが好きな人は絶対に気に入ってくれるはず!
疲れたなと思うときや最近低調だと思う時に必ず読む。
そして、読むと不思議と気力がわいてくる。
今までつらかったでしょう?よく頑張りましたね
という言葉が出てくる。
初めて読んだとき、ちょうどどん詰まりの時期だったので、このシーンで号泣したのをよく覚えてる。
普段の生活の中で、悲しいけど、そんな風に言葉をかけてくれるような人が皆無だったので(笑)、思い余って号泣してしまった。
そのほかにも芥子の種の話や牛車の話など、大和尚さんのお話はすーっと心にしみこんできて、なんとかやってやろうという気持ちになれる。
そして、初めて読んで以来、頭の片隅にずっと残っている一節がある。
たとえ傘がなくても、雨に打たれ肩を濡らしながら、土砂降りの中を歩いていかなければならない時がある。
他の人はみんな持っているのに、どうして自分には傘がないのかと、泣き叫んで膝を突いてしまうことがあるかもしれない。
今までそうなってしまいそうなときは深呼吸をしてから少しだけお腹に力を入れて、一歩ずつゆっくり歩くように心がけてきた。
再読するたびに、ここを読むと安心する。
うまくいかない時って、視野が狭くなりがちだけど、この本に出てくるような心優しい人達が自分の周りにも必ずいると気づかせてくれる。
これからも読み続けていく大切な一冊。