【読書のススメ】親の存在(生きるぼくら/原田マハ)
本を読んでこんなに温かく優しい気持ちになったのは久しぶりです。
読むことができてよかったです。
引きこもりだった主人公が、祖母の元で逞しく成長していく過程が描かれています。
西の魔女が死んだ と似ているのかなーと思いながら読み進めたのですが、性別も年も話の中身も全く異なります。
とにかく主人公を支える魅力的な人たちと蓼科の雄大な自然に、深く癒されます。
祖母の元で過去のトラウマを乗り越えて成長していく主人公ですが、特に印象に残ったのは主人公の母親のこと。
どんなに忙しくても、必ずお弁当を作ってもたせてくれたことや、梅干しを楽しそうに漬けている姿が自分の親と重なり、涙が止まらなくなりました。
離婚し懸命に子育てしたにも関わらず、息子は引きこもってしまった、そして、働き詰めで疲れ果ててしまった母。
結婚したいだのなんだの日々ぼやいていますが、このお母さんと同じ立場にだったら…と考えるととても苦しくなりました。
主人公がどんどん前向きになっていくことにも勇気をもらえますが、その過程で、母がどんな思いで自分を育ててきたのか、気がついてくれて良かったです。
母にとっては主人公の存在が全てだったはず。
子供のために身を粉にして生きてきた母にとって、成長した主人公の姿は最高の恩返しになまたと思うのです。
私も学生時代、毎日お弁当を作ってもらっていました。そして、それをどこか当たり前だと思っていたことに気がつきました。
毎朝何時に起きていたんだろう。
毎日別のメニューをどうやって考えていたんだろう。
自分のことばっかり考えて生きてきたんだと気がつきました。
お弁当を作る度量もなければ、子育ての大変さに思いをはせることもできていないと思い知りました。
私もアラサー。
本当にもう親に恩返しをする時期に来ていることを痛感しました。
会うたびに少しずつ小さくなっていく両親の姿と、梅干しを漬ける主人公の母の姿が重なりました。
老いていく両親にとっての恩返しとはなんだろう。