【読書のススメ】初・年下作家のエッセイ(風と共にゆとりぬ/朝井リョウ)
今までいろんな本を読んできたが、考えてみると、その本の作家が自分よりも年上だということに気が付いた。
その作家が自分より若いころに書いていた…ということがあるかもしれないが、エッセイに関しては、自分よりも年上の人のものばかりを知らず知らずのうちに選んでいた。
そして、自分の状況よって男性作家・女性作家を選ぶぼんやりとした基準みたいなのがあることにも気がついた。
迷走していてなんでもいいからヒントが欲しいときや、恋愛がうまくいってないとき、仕事で落ち込んだ時は私は必ず女性作家のエッセイを読んできた。(エッセイに限らず小説についてもその傾向有)
爆笑エッセイと呼ばれるものの中にも、悩みの解決となる糸口や心が軽くなるような一説が必ずあるので、げらげらと笑う一方で、突如ハッとする言葉に背中を押してもらってきた。
笑えるし、ヒントがもらえるしでこの上ない気分転換のツールなのである。
同性だし、年上だからこそ、私のような気持ちを少なからず経験してきているのだろう。
そうか、誰にでもこういうときはあるもんだなーと同士を見つけた気にもなるし、年上の先輩に話を聞いてもらったかのような安心感がある。
逆に男性作家のエッセイを読むときは理由はない。(笑)
ただ単に表紙にひかれただとか、その人が好きだからとか、面白いと話題になってたからだとか、そのくらい。(笑)
私の大好きなオードリー若林のエッセイも読むきっかけとなったのは、空港の本屋でたまたまタイトルが印象にのこったからというそれだけの理由だった。
でも男性作家のエッセイも全員年上の人が書いたものだった。
だから、今回初めて、意を決して年下の朝井リョウの本を手に取った。
朝井リョウといえば、若くして、様々な賞を受賞している平成のスターという気がしていて、まだ二十歳くらいなのかとばかり思っていた。
が、ウィキぺィアで生年月日を調べてみてびっくりした。
年、ほとんど変わりませんでした。(笑)
下ですが、ほとんど変わりません。(笑)
今回手にした本もやたらゆとり世代を強調しているので、もっともっと年下なのかと思っていたので、そこに一番驚いた。(笑)
さて、ほとんど年の変わらない彼が書くエッセイはどんなものだろうかと読み進めてみると、評判通りとても面白かった。
普通に声を出して笑ってしまった。
お気楽に読めるずっこけエッセイだけど、もともと新卒で企業に就職しながら作家業を続けていて、何年か勤めたのち、作家に専念したということを知った。
限りなく、自分のような一般人に近い感覚を持った普通の人なんだということに、親近感を覚える。
そして、企業に勤める我々が何気なく過ごしている日々のことをこれだけユーモラスに描けることに、当たり前だけれども、一般人とは異なる才能を感じた。
年とか性別とか、あまり関係ないのかもしれないなーとこの本を読んで感じた。
大切なのは、どのような経験をして、何を感じて、そこから何を学んだかということなのかもしれない。
過去振り返ってみると、恥ずかしくてたまらないようなことや、舞い上がるくらい楽しいことや、反対に涙も出ないくらい悲しいことがたくさんあった。
私はそこから何を学んだんだろう。
頭が空っぽだから、パッと出てこないけど、ひとつだけ言えることはどんなことも経験したほうが良いということ。
だから、今まで無意識のうちに年下の人が書いた本を遠ざけていたけれど、これからはどんどん挑戦してみよう。
どんどん年を重ねるごとに、若い作家がたくさん出てくるのだし、読まずにいるのは勿体ないなと思わせてくれた一冊だった。