【読書のススメ】懐かしすぎる過去の記憶(終わらない歌/宮下奈都)
小学校、中学校の時、よく学校で歌を歌っていた。
1人で自発的に歌っていたのではなく、クラス全員で半ば強制的に歌わされていたと言ったほうが正しいかもしれない。(笑)
なんで歌ってるんだろうと、湧き上がってくる疑問に蓋をしながら、歌っていた。(笑)
ということをこの本を読んで思い出した。
登場人物たちは20歳を過ぎた子たち。
本気を出せば空も飛べちゃうんじゃないかと思うくらい可能性とエネルギーが溢れている。
読んでいると、その若くて強いエネルギーに勇気付けられる。
その年齢の頃、自分が何者なのか、少しずつわかってくる。
大学に入って、サークルやゼミやアルバイトなど、自分の世界が格段に広がる。小さい世界で生きてきたころとは比べ物にならないくらいに。
そこで、いやが応にも自分と対峙させられる。
そんな時期の戸惑いだったり、挫折にも似た感情が描かれているのだが、形は違えど、こういうことあったなー懐かしくなる。
誰もが必ず通る道を今まさに経験してる登場人物たちに、自分自身の過去を重ねて読んだ。
そのとき、乗り越えられないと思っていたことは、今となっては記憶の片隅にもなく、忘れてしまってた。
今自分を悩ましてることもきっと、いつか忘れてしまうんだろうな。
忘れてしまうようなことに悩んでる時間があるんなら、少しでも楽しく笑っていたい。
何かを始めるのに若さは必要だと思う。
だけど、アラサーの私だって、両親から見たら空も飛べちゃうくらいに若いのだ。
若々しく、人生に挑む登場人物の姿にパワーをもらえた。
それから…
学校でよく歌っていた合唱曲。
何気なくYouTubeで聴いてみたら、その当時の記憶がぶわーーーっと蘇ってきた。
音楽室の黒板の上の時計とか、同じ制服を着て教科書を持ちながら歌ってたこととか、卒業以来会うことがなかったクラスメイトたちのこととか、教室の床の木の感じとか。
当時、半ば強制的に歌わされていて、何のために歌っているのかよく分からなかった。
歌うことに意味なんてないんだろうけど、あの頃歌っていたことが今になってこんなに尊いと感じるなんて思ってもみなかった。
大人になると忘れてしまう。
忘れたくないことも。
小学校、中学校のことは覚えてるようで、覚えてないことの方が多い。
だけど、耳や目や鼻で記憶したことは、覚えてる。
歌はそれを思い出させてくれた。
あのときなにも考えずに歌ってた歌の歌詞が今の私を勇気付けてくれることにも驚いた。
こんなにいい歌をクラスメイトと歌っていたなんて、なんてしあわせだったんだろう。
とにかくとにかく、懐かしい青春の日々が蘇ってきた。しばらくはこの余韻に浸っていようと思う。
そして、あの頃思い描いていたような自分になるには今からでも遅くないんじゃないかなと、自惚れてみる。