【読書のススメ】ひとり誕生日(株式会社ネバーラ 北関東支社/瀧羽 麻子)
誕生日を最後にお祝いしてもらったのはいつだろう。
少なくとも29歳の誕生日はすでに1人で過ごしていた。
この本を読んだのは29歳になる前だった。
心を鷲掴みにされたフレーズがある。
3月最後の日曜日、わたしは29歳になった。
これといった感慨はなかった。
意外なことに、うれしくもないかわりに悲しくもなく、寂しいような気がすると同時に、なんとなく心が安らぎもした。
20代最後の誕生日を誰からも祝われずにひとりきりで過ごすことになる、とたとえば10代の頃に予言されたとしたら、わたしは泣きたくなったに違いない、大人になって、わたしは強くなったのだろうか、それとも鈍くなったというべきだろうか。
いずれにせよ、それは好ましいことに思える。
初めて読んだときこんな風に誕生日を過ごす人もいるのだなーと思ったのを覚えている。
実際、29歳の誕生日はひとりで過ごしていた。
誕生日のメールをくれたり、後日、お祝いをしてもらったりもしたが、当日はひとりで過ごしていた。
彼氏がいれば一緒にお祝いしてくれたりもしたのだろうか。
だけど、平日の誕生日ともなれば、彼氏がいたとしてもひとりですごすのだろうか。
みんなどうしてるんだろうな。
とにかく、誕生日をひとりで過ごすことに抵抗はなくなったように思う。
結婚し、子供がいる友達とはどんどん疎遠になりつつあり、誕生日のメールも減った。
でもそんなもんだろうなーとも思う。
誕生日をひとりで過ごすことに対して、あぁ、今年もそうだな、くらいの感想しか抱かなくなった。笑
そして、いま自分何歳なんだっけ?と思うこともしばしば。笑
いい加減で適当になってきたなーとも思うけど、誕生日はお祝いされるべきことだという固定観念がなくなったのかもしれない。
これから先も毎年誕生日はやってくる。
だけど必要以上に悲しんだり寂しがったりせずに過ごせる耐性がついてきた。
来年の誕生日も健康でいれますように。そんなことを静かに思う。笑
この本の主人公は都内で働くバリバリのキャリアウーマンだった。
同じ会社に勤める結婚前提の彼氏にフラれ、会社を辞め、今までとは比べ物にならない小さな田舎の会社へ転職することから始まる。
いったん今まで自分を取り巻いていた環境を離れ、新たな地での生活。
知ってる人もいない。携帯も解約してしまった。
世捨て人みたいで、投げやりにも見えるが、一連の行動がすべて人生をひと休みしているようで、なんとなくうらやましくも思えてしまう。
なんだかうまくいかないことがたくさんあるので、すべてを投げ出してしまいたくもなるけど、そんなときに、この本を読むとスッとする。
主人公がすべて投げ出してくれているので、疑似体験できる。笑
ちなみにこの本の帯には
疲れてヘトヘトなあなたをほんわか包んでくれます
ウザイ上司も頼りない同僚も愛おしく思えてくる・・・?!
と書かれています。
なので、電車で読むときにはカバーを付けて読んでいますが、ヘトヘトな気分が晴れること間違いないです。
がむしゃらに頑張っている20代の子は必読です。
私もアラサーですが、何度も読み直している一冊です。