【読書のススメ】おじいちゃんの存在(海とジイ/藤岡陽子)
海とジイ
タイトルだけでほっこり。
でも、本当に読めてよかったと思えた本。
大人の道徳本というのも少し違うけれど、とにかく、読んでて涙があふれてくる。
おじいちゃんって意外と存在感が薄かった。
だって、小さいころ、祖父母の家にいくときにも、おばあちゃん家行くよ、と言われてきたから。
ほんとはおじいちゃんが建てた家なのに、なぜだかおばあちゃんの家。
でも実際のところ、料理を作ってくれたり、お風呂を沸かしてくれたり、世話を焼いてくれるのはやはりおばあちゃん。
なんだかんだで、おばあちゃんと話した記憶の方が思い出として濃い。
そして、挙句の果てに、おじいちゃんのほうが先に亡くなってしまった。
だからなのか、おじいちゃんに弱い。
椰月美智子さんの"しずかな日々"も大好きな小説だが、やはりおじいちゃんが出てくる。
しみじみ思い出すとおじいちゃんならではの愛情を、ちゃんともらってたことに気がつく。
おばあちゃんに比べて言葉数は少ないけど、遊びに行くといつも嬉しそうに迎えてくれて話を聞いてくれた。
今思うと、私が遊びに行ったことを本当に喜んでくれていたんだと思うのだ。
この歳になったからこそ、それがようやくわかるようになってきた。
"おっきくなったな。よく来たな"
といつも満面の笑顔で迎えてくれていたことをそう言えばすっかり忘れていた。
子供の頃は、与えられる愛情を当たり前のように思ってたけど、それは違うよな。
こんなにも温かくありがたいことだったというのは歳を取ったからこそ分かるものなのかも。
おじいちゃん、私アラサーになったんだよ。
まだ結婚できてなくてごめんだけど。(笑)
おじいちゃんに会いたくなった。