【読書のススメ】普通とは(コンビニ人間/村田沙耶香)
芥川賞受賞の話題作。
気になっていたけど、話題になってからだいぶ時間が経ってしまった。
なんだか読んでいてとても苦しい気持ちになった。コンビニでバイトをする主人公から感情が読み取れないからなのか…?
いわゆる普通とは違う主人公。
自分の言動が家族を悲しませてしまうが、何故悲しんでいるのか分からない。
でも、悲しませたくない。
だから普通の人間になることに一生懸命になる。
話し方や着る物や持ち物などなど、周りの人の真似をしている。
普通でいることに一生懸命で、自分の思っていることを飲み込んでいる主人公の姿が読んでいて辛かった。
両親や妹が主人公に困惑していることも辛かった。
主人公に嬉しいとか楽しいとかそういう感情が感じられないことも辛かった。
今まで普通とはなんなのか考えたこともなかった。
普通の人。普通の生き方。普通の考え。普通の幸せ。
普通とは平均なのか…?
多くの人がいて、その人達の平均的なところをとって普通と呼ぶのか…?
普通の人とは学校を出て、就職し、結婚し、子供を持っている人のことを言うのか?
だからそれ以外の人は普通ではないのか?
会社に就職し、結婚し家庭を持つことは普通だからそうやって生きていれば正解なのだろうか?
混乱。(笑)
主人公のようにいい歳してアルバイト生活で、結婚もせずにいる人は、生き方そのものを見て普通ではないと判断されるのかもしれない。
うーん。
たしかにコンビニでバイトしてるアラフォー独身がいたら、そういう目で見てしまうもしれない。
でもみんな一人一人違うのだから、多かれ少なかれ普通から乖離しているところはある。
普通なんて幻想でしかなくて、だけど、変わってるとかおかしいとか言われたくないからみんな平均に寄せているように振舞っているのか?
そうじゃなくて自分自身が普通ゾーンに属していれば、やることなすこと全てが普通になるのか?
普通とはなにかよく分からんなー。
みんな個性があって一人一人違うわけだから、一括りに普通という分類分けをするのは難しいんじゃないか?
でもそれだけ普通というのは広範囲なものなのか?
多少普通からズレていても、自分を認めてくれる人がいればそれだけでいいんじゃないのかと短絡的に考えて、この本の感想としてしまいたいけど、認めてくれる人なんてそうそういない。
普通ではない人は、どんどん浮いた存在になる。
生きづらさがこの本全体から伝わってくる。
そしてその生きづらさを抱える人の周りいる人たちの怒りや悲しみもとても大きい。
普通とはなんなんだろう。
難しい。